59-名古屋からみなさまへ

皆さん、こんにちは。半年以上間が空いてしまいましたが名古屋コミティアへようこそ!

前回の名古屋コミティア58は、結果として感染拡大基調が落ち着いた隙間での開催となりました。名古屋でのコミティア開催を待ちに待っていただいていたというのを、当日皆様の顔を見ることで実感した次第です。

やはり、体感として得られるものの多い「生の」イベントは、エアイベントでの代替えは難しいものだと思ったのも事実。まだまだ分からないことの多い新型コロナウィルス(SARS -CoV-2)およびその感染症(COVID-19)、今後の感染状況がどうなるかわかりませんが、感染状況が落ち着いてくれることを願わずにいられません。

 

さて、今回からしばらく、紙ではなくWeb上、つまりPCやスマートフォン等、液晶あるいはEL画面でこの画面を見ていただくことになりました。いろいろ疑問点があると思いますので、まずはこの「Tia’s Magazine 名古屋 Online」、略してTMNOを作成するに至った経緯を説明させてください。

もともと、Tia’s Magazine 名古屋の版下(印刷する時の製版を行うための元になる原稿)は、オンライン申込を始めるまでは紙ベースで実施していました。すべてのページを原稿用紙に印刷したり、あるいは他の紙に印刷したのちに原稿用の大きな紙に貼り付けたり…… 多くの人手と時間をかけて作成していました。

それをオンライン申込を始めた時、高精細なサークルカットデータを得られることもあって、データ劣化のないデジタルでの版下作成としました。しかし、それはデジタルで版下作成をしたことのある、一人のメンバーがすべての作業を負う形でのデジタル化でした。そのメンバーは’90年代後半からPCでのイラストやマンガ作成をしてきたからこそ、版下作成に使用するツールに精通しており、すべてを理解していました。

一人のすべてを理解しているメンバーに「おんぶにだっこ」状態となっていた、ということは、そのメンバーが、様々な理由により名古屋コミティアを離れることを決意したとき、Tia’s Magazine 名古屋のデジタル版下を作成できる人が居なくなる、ということと同義です。それが起きてしまいました。一人の技術者によって成立していた「ものづくり」が出来なくなるという、悪い方向での日本の産業構造と同じになっていることに、気づくことが出来てなかったのです……

デジタル版下の作成は、ワープロソフトを使って文章を入れて、イラストを差し入れて…… という様に出来ると思われるでしょうが、そこまで簡単ではありません。

まず、印刷会社は印刷用のデータしか受け取れません(詳しくは、同人誌印刷を行っている各企業のホームページに掲載されている内容をご確認ください)。企業でよく使われているワープロソフトのファイルをそのまま印刷会社に渡しても、私たちが期待する形で印刷されないのです。途中で印刷用データに変換しなければなりません。それを、Tia’s Magazine 名古屋の全ページにわたり、たった一人で作業されていたのです。

ここにかける時間や苦労は計り知れません。当然、それを残されたメンバーで代替えすることも容易ではありません。なぜなら、2021年の段階でデジタル原稿作成を20年以上実施してきた方のノウハウを、”一切引き継ぐことなく”、”これまでと同じ品質で”作成するには、経験が足りなすぎるのです。また、残されたメンバーの置かれている環境(仕事や家庭など)も、デジタル版下作成をしてきたメンバーと大きく異なり、これまで同様の期間・品質での発行は困難であるとの結論となりました。非常に悔しいですが……

 

しかしここで、”Tia’s Magazineとは何ぞや?”という命題の解が明確になりました。「参加者に対する情報提供媒体である」。この「名古屋からみなさまへ」も、「Reader’s Choice」も、「Voice」も、サークルカットも、すべて名古屋コミティアからサークル参加者、一般参加者への情報を提供出来ればよいのだから、媒体は使えるものを使えばいいじゃないか。コレクション性もあるにはあるが、現状ソコは妥協してもらおう(ただし参加記念品は用意しよう)と、名古屋コミティアメンバーで「Tia’s Magazine 名古屋」をTMNOとしてWebで公開することを決めました。

電子化であれば電子帳票形式ファイルでの配布を、と思われるでしょうが、試しにワープロソフトから出力してみると、出力したPCの環境によって同じファイルからでも見栄えの違う結果となり、これが一般企業であればソフトやフォント等の環境を統一して、見栄えの統一化もはかれるのですが、「出来ることを出来る人が手伝う」名古屋コミティアではそうもいきません。つまり、ある人が内容修正をして見栄えも編集した場合、他の人の環境でその通りに出力できる保証が無いことが分かったのです。

そうなると、出力担当者を固定して見栄えを確認して…… では、Tia’s Magazine 名古屋 の版下を一人で作成するのと同義で、解決にはなりません。作業者の環境によらず、同じ見栄えで「見てもらうもの」の出来栄えを確認できる、という面からも、Web化が現状では最適と判断した次第です。

 

以上、長々とTMNO発行のいきさつを述べましたが、紙媒体での発行をあきらめたわけではありません。即戦力としてカタログ誌のような、文字と写真、イラストの入り混じったデジタル原稿を取り扱ったことのある方を募集しています。他にもいろいろな分野で、名古屋コミティアを共に支え、運営に協力いただける方を募集しています。詳しいことは本部、あるいはチラシなどからお問い合わせください。

 

引き続き今後のことについて少し。次回名古屋COMITIA60の募集要項を見てびっくりされるかもしれませんが、次回は縮小開催です。メンバーの負担を減らし、経験値を積ませることを主眼に小回りを利かせやすい小規模開催とさせていただきます。

また、名古屋国際会議場も2023年4月1日から耐震補強工事を実施することから使用できず、かつて開催していた刈谷市産業振興センターあいおいホールなど、小規模開催のホールに移動せざるを得ません。ここで経験値を積んで、あらためてイベントホールに戻ってきたいと思います。同時にTia’s Magazine 名古屋 も紙で発行出来るといいのですが……

 

最後になりましたが、本日参加の皆様が、素敵な作品に出合えますように。

 

名古屋COMITIA実行委員会  山村

58-名古屋からみなさまへ

名古屋からみなさまへ。

何から伝えればいいのか、わからないまま時は流れて。

……などと30年ほど前のJ-POPの歌詞を引用する必要があるほど、SARS-CoV-2、いわゆる新型コロナウィルスに翻弄された2020年でした。

名古屋コミティア56は、4月に全国対象の緊急事態宣言の発出を受け中止。主にツイッターを利用したエアイベントとなりました。

その後5月には緊急事態宣言も解除され、感染状況も落ち着きをみせたものの、今度は名古屋コミティア57Wを開催するための人的資源が確保出来ない恐れもあり、感染拡大予防を打てないとの判断から早い段階での開催中止を決定しました。(ただ、たまたまの結果ですが57Wの開催時期に感染者増加傾向にあったため、感染者抑制の一翼を担うことが出来たかもしれません)。

代替えとして名古屋コミティア公式ホームページをポータル(玄関、入口)とした「エア名古屋コミティア57」を企画し、100サークル余りのエントリーをいただきました。

ただ、実態のある「名古屋コミティア57W」は700スペース募集でしたし、56から持ち越したサークルさんと、57Wに新規に申込みいただいたサークルさんの総数を母数とした、エア名古屋コミティア57参加率はざっと14%でして、イベントのブランド力や発信力が、サークルさんの望まれるレベルより低いのかなとも感じた次第です。

エアイベントに関しては何をどうしたものかという状態でした。

公式アカウントから注目サークルさんのツイートをリツイートでピックアップする、というのもアイデアとしていただきました。担当者の好みが反映されて公平感を欠く運用となりかねず、次回がもし有るならば、どう調整し運用するかが課題となります。

あるいは、名古屋コミティアをポータルとした「エア名古屋コミティア」であれば、登録ジャンルページを紹介するようなツイート発信するという方法もあるかもしれません。

一番の理想は、エアイベントは”過去こんなこともあったなー”ですが、次にエアイベントをすることがあるならば、より良い運用を検討していきたいところです。

 

実態のあるリアルイベントが開催出来なかったことから、名古屋コミティアは運営資金が困窮している状況です。この状況を少しでも補うべく、公式物販サイト[名古屋COMITIA物販部]を設置し、そちらでティアズマガジンやクリアファイル、Tシャツ、ポストカードを販売しております。

2020年10月15日から開始し、これまででおよそ50万円あまりの運営資金の補填が出来ました。ご購入いただいた方、販売価格に上乗せして支援をしていただけた方、大変ありがとうございます。

マフラータオルは在庫切れで買うことが出来なかった方、申し訳ありません。Tシャツ以外は在庫のみとなります。Tシャツは、いわゆるオンデマンド生産(受注生産)のため、在庫切れがありません。デザインも日常使いで困ることは無い、と自負しております。よろしければご支援いただけますと幸いです。

 

さて、今後のことを少し書いてみようと思います。

新型コロナウィルスに対するワクチンの接種拡大によって、2021年1月のような厳重な感染対策が必要なくなると期待して、というものも含みますが……

募集サークル数は、2019年までと同様に会場キャパシティ上限までを必ず募集していきます。

ただ、やはり新型コロナウィルス感染陽性者数の推移によっては、会場施設に対する入場者数の制限、対面で接する場所の間隔拡大などの要請を受け、規模を小さく変更して実施することがあるかもしれません。まずは名古屋コミティア59(2021年秋開催予定)までは。

その後、いったん名古屋コミティアは開催規模を縮小します。

現在はイベントホールで500スペース募集ですが、これを過去開催したことのある、白鳥ホール(名古屋国際会議場内)、あるいは名古屋市外のホール…例えば、2000年代に開催していた刈谷市産業振興センターあいおいホールなど、200スペース程度の小さな会場での開催を進めていきたいと考えております。

規模縮小の理由は、後継者の育成です。

2009年に名古屋凱旋と銘打ち白鳥ホールで開催して以降、名古屋市内での同人誌即売会開催やSNSの発達もあってか[作品発表の場]として名古屋コミティアへのご支持をいただき、回を重ねるごとにサークル参加申込み数・一般参加者数は増加し続けていました。そして、それに対応すべく、熟練のメンバーが参加サークルが少ないころからの経験をもとに対応を検討し実行、あるいは何か問題が起きたその場で対応して参りました。

その反面、経験の浅い若年メンバーは、熟練メンバーの背中を見続けることしかできず、同様に熟練メンバーも若年メンバーを指導が出来ず、ノウハウの引継ぎが出来ていない状況となってしまいました。これはイベント当日の運営に限らず、サークル申込みの受付、ティアズマガジンの編集、出納関係と言った、組織運営の部分にも当てはまります。

この問題を解決するには、若年メンバーに経験を積ませることが必要で、そのためにはいったん制御しやすい規模に縮小することを選択しました。

それによって問題が完全に解決できるかわかりません。しかし、勝算はあります。新たな問題が出るでしょうが、それを正面から対応してこそ成長する、そう信じております。

そうして経験を積み、名古屋国際会議場の改修に伴う臨時閉館が終わる2026年下期には、またイベントホールでにぎやかなイベント開催が出来れば、と考える所存です。

 

どうか、サークル参加・一般参加のみなさまも、[名古屋コミティア]の成長を見守り支えてください。

長々と重い文章となりましたが、これでおしまいにします。
1年ぶりの、実態のある名古屋コミティアを、どうか楽しんでいってください。

 

名古屋COMITIA実行委員会 山村